目を疑うようなタイトルですが、事実です。
これは、私が派遣社員として就業をしている時、
営業の人に言われた言葉です。
カラクリを先に説明します。
派遣社員は、時給制です。
つまり、稼働時間が増えれば増えるほど、収入は、増えていくのです。
反対に、稼働時間が低いと、その分、収入も、低くなります。
仕事を発生するような状況を生み出せれば、稼働量も増えていきます。
それが、
「バグを出すほど収入が上がる」
という言葉の背景です。
この言葉を言われた状況を述べたいと思います。
１. エンジニアのスキルと稼働量（体験談）
その時は、
派遣社員として、客先常駐で、開発案件に従事していました。
ある程度、開発経験を積んでいた私にとっては、
比較的簡単な案件でした。
この案件には、
私と同じ派遣会社経由で、新人のエンジニアが入っていました。
客先の同じ開発チームに入って、デスクも隣同士になりました。
私と新人に、それぞれタスクが割り当てられました。
私のタスクは、難易度高めで、
新人のタスクは、非常に簡単なものでした。
あらかじめ各タスクの期日は、共有されました。
プロパーの御方曰く、
ローンチが迫っており、タイトなスケジュールを組ませてもらった、
どうか助けてくれないか、
とのこと。
私は、
最高のパフォーマンスを発揮すれば、
このタスクは、どれくらい早く完了させることができるのだろうか、
と考えました。
そして、作業に没頭しました。
すると、当初想定していた半分の工数で、完了させることができたのです。
さぞ、クライアントも、喜んでくれるだろう…
そう思っていました。
だけど、実際は、契約終了になりました。
なぜなら、作業が完了してしまったからです。
当初、クライアントが、多めに引いていた工数分は、
私が、稼働する必要はなくなりました。
２. 低スキルが優秀で、高スキルは無能
「バグをたくさん出さないと駄目ですよ」
「最終的には、システムをぶっ壊すくらいしないと」
契約終了に至った私は、担当営業に、上記の言葉を言われました。
一方、私と同じチームにいたあの新人は、どうでしょうか。
この新人、
作業内容すらよく分かっていなかったようで、
スケジュール通りに、タスクを完了させることが出来なかったようです。
それで、契約が延長されたそうです。
後々聞いた話では、
契約延長をされても、完了させることが出来ず、
最終的には、切られたそうです。
よく考えてください。
進捗良好で、成果を出した私より、
パフォーマンスが悪く、何も成果を出せなかった新人の方が、
クライアントと、長い期間、契約をすることができて、
恐らく、結果的に、収入も、私より高くなったと推察します。
派遣社員の収入が高くなるということは、派遣会社への利益も高くなると同義です。
要するに、
すぐにタスクを完了させてしまう高スキルエンジニアよりも
タスクを完了させられない低スキルエンジニアの方が、
派遣会社にとっては、優秀という事になります。
３. モラルハザードの恐れ
ここまで書けば、
薄々、お分かりかと思います。
高スキルよりも、低スキルの方が収入が高くなるということは、
モラルハザードを招く危険性があるということです。
非常に高いパフォーマンスを出せるはずのエンジニアが、
作業の手を抜いたり、作業を真面目にしなくなる、という要因をもたらします。
周りを見渡すと、
チーム全員のパフォーマンスが非常に低くなっています。
優秀な人ほど、辞めていきます。
そして残るのは、仕事をしない人ばかり。
４. 本当に、パフォーマンスが悪い方がいいのか？
そうはいっても、
派遣社員のエンジニアにおいては、
近視眼的に見方では、
パフォーマンスが悪い方が、
収入は高くなります。
ただ、長期的に見れば、
スキルが高くパフォーマンスが高い方が、
利益が多くなるだろうと考えます。
低スキルで、
パフォーマンスが悪ければ、
いつ切られてもおかしくないですからね。
不安定さを払拭し切れないという事です。
５. おわりに
「バグを出すほど収入が上がる」
派遣営業のこの言葉は、近視眼的な物の見方に過ぎません。
派遣社員にとっては、長期的に見れば、スキルが高い方が良いのは当然です。
ただ、派遣会社にとっては、
派遣社員はあくまで商品に違いないので、
派遣社員の長期的なスキルプランなど知ったことではないんですよね。
派遣社員を、客先にぶち込んだら、
1日でも1分でも1秒でも、長く、常駐してくれる人ほど、
優秀な派遣社員ということに他なりません。
それには、仕事が出来る出来ないなんて、関係のない話なのです。
