案件を探していると、様々な企業の経営者と顔を合わせる機会があります。
大半は、いわゆる「普通の社長」です。しかし中には、クセが強い経営者に出会うこともあります。
元ニート、元ホームレス、元暴走族・元ヤン、SNSでやたらと尖ったキャラ付けをしている経営者……。
正直に言うと、私はこの手のクセが強い経営者が率いる企業と当たると、「ハズレを引いたな」と身構えてしまいます。偏見も混じっているかもしれませんが、これはあくまで現場での実体験に基づく感覚です。
本記事では、実際に私がSES業界で見聞きした体験をもとに、なぜクセが強い経営者が生まれるのか、そしてなぜそれが求職者にとってデメリットをもたらすのかをお伝えします。
目次
クセが強い経営者と出会った、ある面談の話
以前、ある開発案件の面談で、代表を名乗る人物と話す機会がありました。
経歴を聞くと、いわゆる「叩き上げ」というよりは、これまで組織で働いた経験がほとんどないタイプの人物でした。会話の端々に、社会人経験の少なさが滲み出ていました。
この時点で、私はこの案件をやんわりお断りすることに決めました。
こうした違和感を覚える面談は、一緒に仕事したくないSESや派遣会社の特徴とも重なる部分が多いと感じています。
なぜクセが強い経営者が生まれてしまうのか
「経営者になる」には、それなりの知識・能力・経験が必要なのでは、と普通は思うでしょう。
しかし、SES業界においては、その前提が崩れます。
知識なし・能力なし・経験なしの人物でも、経営者として成立してしまいます。
それができてしまうのが「SES」という業界の構造的な特徴です。
エンジニアを右から左へ流し、人月単価で収益を確保する仕組みなので、経営者側に高度な専門知識は必須ではありません。
つまり、SESは「誰でも経営できてしまう」業界なのです。
認知を広げるための「キャラ付け」という戦略
では、なぜわざわざ経営者自身がクセの強いキャラ付けをするのでしょうか。
答えはシンプルで、認知を広げるためです。
↓
「このSES企業が絶対にいい」と選ぶエンジニアはほぼいない
↓
エンジニアは複数のエージェント・派遣会社に登録し、たまたま案件が合った会社で稼働するだけ
↓
だから「うちの会社は他とは違う、変わった社長がいる」と目立たせて集客しようとする
たしかに、この戦略で認知は広がります。SNSでバズれば、応募数も増えるかもしれません。
しかし、私はこれを逆効果だと考えています。
「クセが強い経営者」がむしろ求職者を遠ざける理由
普通に考えて、クセの強い経営者のもとで働きたいと思う人は多くないはずです。
極論ですが、次の二人の経営者を比べてみてください。
- ずっと会社員として働き、経験を積んでから独立した経営者
- 社会人経験がほとんどないまま、勢いだけで経営者になった人物
どちらと取引したいかは、言うまでもないでしょう。
もう一つ例を挙げます。あなたが転職を考えたとき、一度も組織で働いたことのない人物の下で働きたいと思うでしょうか。
これは頭で考えるというより、生理的に受け付けないレベルの話だと思います。
クセの強いエピソードは、SNSより雑談程度に
私が思うに、こうしたクセが強い経営者の武勇伝は、SNSで大々的に公開するようなものではありません。
むしろ、雑談のタネ程度に留めておくほうが、企業としての信頼にはプラスに働くのではないでしょうか。
求職者は皆が皆、刺激的で非社会的なエピソードを求めて企業を探しているわけではありません。
多くの人が求めているのは、安心して長く働ける、真っ当な組織なのです。
まとめ:経営者のキャラより、組織としての実態を見る
クセが強い経営者自体が、必ずしも「悪」というわけではありません。実際、個性的な経営者のもとで成功している企業もあるでしょう。
しかし、SES業界という「誰でも経営できてしまう」構造の中では、そのクセの強さが、経験・能力の裏付けのない「見た目だけの差別化」になっているケースが少なくありません。
面談で経営者や社員と話す際は、キャラクターの派手さに惑わされず、組織としての実態や、実際の案件・待遇条件を冷静に見極めることをおすすめします。
なお、AIに頼りきりで自分の頭で考えなくなってしまうという、また別のタイプの「落とし穴」についてはAI全頼りの新人エンジニアが現場から切られるまででも紹介しています。


