ソフトウェア開発

エンジニアがうつ病になる現場の特徴4選|経験20年が語る共通点

エンジニア うつ病 現場 深夜オフィスで頭を抱える

エンジニアがうつ病になるのは、あなた自身のせいではありません。

20年以上、システム開発の現場を渡り歩いてきた私が、何度もそのシーンを目撃してきました。

ある日突然、優秀なエンジニアが現場から姿を消す。しばらくして「うつ病で離脱した」と耳にする。

そのたびに思うのです。「この現場、やっぱりおかしかった」と。

本記事では、100以上の開発現場を経験してきた私の視点から、エンジニアがうつ病になる現場の共通点を赤裸々に語ります!

 

【体験談】ある現場で、エンジニアが静かに消えた

以前、あるSES案件で参画した現場でのことです。

チームには10名ほどのエンジニアがいて、私は途中からジョインしました。

参画してすぐ、違和感がありました。

 

朝会では毎回、テックリードが最新技術の話を楽しそうに語るのです。

最近GraphQLとRustを組み合わせてみたんですけど、めちゃくちゃ面白くて!皆さんも試してみましょうよ!
いいですね!やってみましょう!

周囲のエンジニアたちも、競うように技術トレンドの話で盛り上がっています。

 

そんな空気の中、一人のエンジニアが端のデスクで黙々とコードを書いていました。

Aさんといいます。実装力は高く、仕事は丁寧。ただ、技術の雑談にはあまり加わりませんでした。

Aさんって、最近どんな技術に興味あるんですか?
…あ、えっと、特にこれといって…
えっ、エンジニアなのに?笑

笑いながら言った一言でしたが、Aさんの表情が一瞬固まったのを、私は見ていました。

それから2ヶ月ほどで、Aさんは現場から姿を消しました。

「体調不良による長期休暇」という連絡だけが届いて。

 

問題はエンジニアのメンタルではない

後日、別のメンバーからこんな話を聞きました。

Aさんは、遅かれ早かれ、辞めただろうね。「自分だけついていけてない」ってずっと思い込んでたみたいだし

Aさんは技術への「熱量」がチームと合わなかっただけです。

仕事の能力に問題があったわけでも、メンタルが特別弱かったわけでも、ありませんでした。

問題は現場の空気そのものにあった、と私は今でも思っています。

 

エンジニアのうつ病は「個人の問題」ではない

20年間、100以上の開発現場を見てきました。

その中で、うつ病によって現場を離れたエンジニアも少なくありません。

そして、気づいたことがあります。

うつ病エンジニアが出た現場には、必ず何かしらの「異常な空気」がありました。

「あの人はメンタルが弱かったから」「繊細すぎたから」──そういう言い方をする人もいます。

しかし私は、それは違うと断言できます。

うつ病になったエンジニアが他と違う「異常性」を持っていたのではない。その現場の環境が、人を壊していたのです。

 

うつ病エンジニアが出やすい現場の特徴

私がこれまでの経験で見てきた、エンジニアのうつ病を生む現場の特徴を挙げます。

 

① 「技術好き当たり前」の同調圧力がある現場

エンジニアの世界には、技術への熱量を美徳とする文化があります。

もちろん、技術を楽しめるエンジニアは素晴らしい。しかし問題は、それが「当たり前」として強制されるときです。

エンジニアたるもの、新しい技術には貪欲であるべきでしょ!
やってみようぜ!イケイケな技術試してみようぜ!

こういう空気の現場では、ノリについていけないエンジニアは徐々に「浮いた存在」になっていきます。

「自分はこの場にいていいのだろうか」という感覚が積み重なり、やがて心が折れていくのです。

技術が好きかどうかと、仕事ができるかどうかは別の話です。その妙なノリを強制する現場は危険です。

 

② 生え抜き集団が仕切る現場

同じメンバーが長年にわたり固定されてきた現場には、独特の「内輪文化」が育ちます。

暗黙のルール、内輪の笑い、説明されない常識。

外から入った人間には、何が正解かがわかりません。

あの、このタスクなんですが、どう進めれば…
え、そこは察してほしいんだけど

「察する」ことを求められる現場は、新参者にとって地雷原です。

何を聞いても「空気読めない」と評価され、何も聞かなければ「積極性がない」と見られる。

どう振る舞っても正解のない環境が、じわじわと人を追い詰めます。

 

③ ロジハラ上司がいる現場

「ロジハラ」という言葉をご存じでしょうか。ロジックハラスメント、つまり論理で人を追い詰めるハラスメントのことです。

怒鳴ったり侮辱したりするわけではない。ただ、ひたすら「論理的に」詰めてくる。

上司
上司
この設計は、どのデザインパターンを採用しましたか?
新人
新人
えっと…すみません、あまり詳しくなくて…
上司
上司
「詳しくなくて」じゃ話にならない。これは、Repositoryパターンに近いですね?
新人
新人
…たぶん…そうだと思います
上司
上司
その根拠は何ですか?
新人
新人
…コピペしてしまいました
上司
上司
責務の分離も不十分ですね。ちゃんと設計しましたか?
新人
新人
…いえ
上司
上司
じゃあ根拠のない設計ってことですよね。なんで確認もせずに実装を進めたんですか?
新人
新人

一見すると「まともなフィードバック」に見えます。

しかし毎日これが続くと、エンジニアは「何を言っても詰められる」という恐怖感から、発言や提案を一切やめてしまいます。

思考停止と自己否定が積み重なり、やがてうつ状態へと進んでいきます。

 

④ 誰も喋らない現場

一日中、キーボードの音しか聞こえない現場があります。

特にSESの客先常駐では、こういう現場に出くわすことがあります。

集まっているのは別々の会社から来たエンジニアたち。

チームのはずなのに、チームという感覚がまるでない。

おはようございます

次第に、誰も言葉を発しなくなっていく。

誰も話しかけず、雑談もなく、質問すら躊躇する雰囲気。

最初は「集中できていいな」と思うかもしれません。しかし、それが毎日続くと話は変わります。

人間は社会的な生き物です。孤立した環境に長く置かれると、じわじわとメンタルが削られていきます。

「自分はこのチームに必要とされているのだろうか」「何かまずいことをしてしまったのだろうか」──答えのない問いが頭を占領し始めます。

声を出せない現場は、思っている以上に人を追い詰めます。

 

現場が壊す前に、自分を守る

エンジニアがうつ病になるのは、その人が弱いからではありません。

現場の環境が、人が正常に機能できない状態を作り出しているのです。

もしあなたが今、以下のような状態なら要注意です。

  • 朝、現場に向かうのが億劫になってきた
  • 自分だけがついていけていないと感じる
  • 発言や提案をする気がなくなってきた
  • 誰とも話していない時間が長くなった

これは「甘え」でも「弱さ」でもありません。現場のシグナルを、体が正直に受け取っているだけです。

特に、SESは、正直なところ「現場ガチャ」です。 どれだけ事前に情報を集めても、入ってみないと分からないことの方が多い。だからこそ、合わないと感じたら長居する必要はありません。

SESや客先常駐の強みは、現場を変えられることです。合わない現場に居続けることが美徳ではありません。

違和感を覚えたら、早めに動くことが自分を守る最善策です。

※ 現場のストレスで限界を感じたら、一人で抱え込まずに相談窓口を活用してみてください。

こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト(厚生労働省)

 

現場環境こそが、エンジニアの健康を左右する

20年間で私が学んだことのひとつは、「現場を見ればエンジニアの未来がわかる」ということです。

技術力でも、個人の性格でもなく、その人が置かれた環境が、エンジニアとしての成長とメンタルの健康を決定的に左右します。

うつ病で現場を去ったエンジニアたちは、別の環境では生き生きと活躍しているケースも多い。

「あの現場が異常だっただけだ」と気づいた瞬間に、人は、自分を取り戻せます。

エンジニアとして長く働き続けるために、現場の選択は技術スキルと同じくらい重要です。

あなたが壊れる前に、あなた自身が現場を判断してください。その違和感は、きっと正しい。

ABOUT ME
普通のフリーランスエンジニア マノリさん
ごく普通のエンジニア(経験20年)。早大卒。渋谷在住。フルリモートで稼働中。スタートアップとインバウンドが行き交うこの街で、AIと仲良くコードを書いている。趣味は小説と散歩と旅