フリーランスのエンジニアをやってます。
以前、フロントエンドエンジニア向けの案件を引き受けた時、なぜか、デザイナの仕事も要求させられたことがありました。
フロントエンドエンジニアとデザイナーの領域って、曖昧なところがありますよね。
どこまでが、エンジニアの領分で、どこからがデザイナーの領分なのか、はっきりと認識しておく必要があると考えています。
私の体験談を踏まえて、エンジニアとデザイナーの作業範囲について、考えたいと思います。
フロントエンドエンジニアとWebデザイナーの違い
フロントエンドエンジニアとWebデザイナーの作業範囲を、ざっくりと分けると、次の通りです。
■ フロントエンドエンジニア
・フロント(画面側)の動的な実装
・Javascript(React, Vue.js)のスキルが必要
(・HTML/CSSの作成)
■ Webデザイナー
・Webサイトのデザイン(ワイヤーフレーム)を作成
・バナーやアイコンなどの画像作成
・IllustratorやPhotoshopなどのデザインツールのスキルが必要
(・HTML/CSSの作成)
Webデザイナーが作成したデザインを受けて、フロントエンドエンジニアがプログラムを作成していきます。
ゆえに、Webデザイナーとエンジニアは、たびたび、作業上の連携が必要になるので、円滑に物事を進めるうえで、良好なコミュニケーションも求められます。
さらにいうと、コーダーなる職種もあります。
コーダーは、Webデザイナが作成したデザインを受けて、HTML/CSSを使って、静的な画面を作成します。
作業工程的には、Webデザイナーとエンジニアの間に、入る形です。
コーダーのコーディングが完了したら、今度は、エンジニアが、動的な実装を進めます。
ちなみに、実際、私は、コーダーという職種の方に出会ったことがありません。
小規模開発では、ほとんどが、【エンジニア + Webデザイナー】の体制です。
HTML/CSSのコーディングは、進捗具合を勘案して、エンジニアか、Webデザイナーが、よしなに対応することになると思います。
一般的な、フロントエンドエンジニアとWebデザイナーの作業領域は、以上です。
【体験談】エンジニアがデザインもやらされる
ここからは、雑談的な話です。
以前、フロントエンドエンジニアとして参画させていただいた案件で、Webデザイナーの仕事も要求させられたことがありました。
私は、エンジニア側で、HTML/CSSのコーディングもよろしくね、って話かと思ったのですが、エンジニア側で、画像やデザインの作成もやってください、ということでした。
■依頼されたフロントエンドエンジニアの仕事
・フロント(画面側)の動的な実装 (Javascript/React)
・フロント(画面側)の静的な実装 (IllustratorやPhotoshop)。Webサイトのデザイン(ワイヤーフレーム)やバナーやアイコンの作成。HTML/CSSの作成まで
しかも、驚いたことに、この開発プロジェクトには、別に、Webデザイナーも在籍されていました。
Webデザイナーの方は、高齢の方でした。
じゃあ、このWebデザイナーの方は、どんな役割を担っているのか?
実は、このプロジェクトのWebデザイナーの方は、ほとんど何もしていませんでした。
厳密に言うと、Webデザイナーは、紙と鉛筆を使って、画面のイラストを描くだけでした。
Webデザイナーは、その紙に描いたイラストを開示して、「こんな感じでデザインを作ってください」とフロントエンドエンジニアにデザインの作成を依頼します。
そこから、フロントエンドエンジニアが、デザインの作成を始めます(哀)
ちなみに、このWebデザイナーが描いたイラストは、ユーザビリティ無視の「こんな感じがカッコいいんじゃね」的なものなので、デザインとしても成立していませんでした。
無論、ワイヤーフレームでもありません。
- Webデザイナー → なにもしない
- フロントエンドエンジニア → Webデザイナーの仕事もする
どうして、こんな事態になったのか?
プロジェクトが進行していくと、内実も明るみになっていきました。
このプロジェクトのクライアントは、小規模な企業でした。
この企業の代表とWebデザイナーの方が、個人的に仲が良いらしく、長年、この企業の専属デザイナーとして契約を続けているとのことです。
この企業の開発プロジェクトでは、長年、エンジニアがデザイナーの仕事も受け持つ体制が、慣習となっていると聞き、閉口しました。
デザイナーが高齢の方であったので、誰も、問題提起することができなくなっていたのかもしれません。
私は、一応、プロパーに、フロントエンドエンジニアとWebデザイナーの作業領域の違いを説明しました。
ただ、長年、この体制でやってきたから、なかなか変えるのは難しいとのことでした。
第三者から見れば、何もやっていない(何もできない)Webデザイナーを切って、ちゃんとデザインができるデザイナーと契約をすればいいんじゃないの、という話かと思います。
しかし、事態は、スキル以外の要素が絡んでいるので、そう簡単にはいかなそうでした。。
そもそも、この高齢のWebデザイナーの方は、新しいスキルを身につける気もないとのこと。
これが他の会社だったら、一発で切られるでしょうね。
プロパーは、この高齢のWebデザイナーを、こういう人だ、ということで、諦めていたようです。
また、プロパーは、高齢のWebデザイナーに悪知恵を吹き込まれていたようで、「フロントエンドエンジニアは、(デザインも含めて)フロント側すべてを対応できる」と思い込んでいましたが、それは誤解です。
個人的には、フロントエンドエンジニアは、デザイナーの作業領域まで、対応する必要はないと思います。
それでは、何の為に、デザイナーが存在しているのか不明ですよね。
フロントエンドエンジニアとデザイナーの違いとは何か?
共通認識だと思っていても、エンジニアとデザイナーとクライアントの三者で、認識齟齬があれば、案件は炎上するでしょう。
この件以降、自分では、当たり前だと思っていることでも、念の為、相手が共通認識を持っているか確認するようにしています。