未経験エンジニアがお金を支払って実務経験を積むサービスが、話題になっています。
以下は、企業HPに記載されている、サービス概要です。
ギミジョブは未経験でもエンジニアとして実務経験を積むことができる転職支援教育サービスです。 ギミジョブは実際の企業案件でエンジニアとして実務経験を積むことができるので、着実にエンジニアとして実務経験を積んで転職を有利にすることができます。
(ギミジョブHPより https://www.gimejob.com/)
このサービス内容を聞いて、
未経験で、業界の事をよく分かっていない、新人さんを対象としている点において、情報弱者をターゲットにしたサービス、という感想を持ちました。
私は、フリーランスのエンジニアで、システム開発の仕事をしています。
自分が、新人だった頃を思い返してみると、
経歴が乏しい時期、「どうしても実務経験が欲しい!」という気持ちは、分からないでもないです。
それゆえに、未経験の新人が、実務経験を欲している気持ちは、理解できます。
その需要を狙って作られた、サービスなのでしょう。
でも、未経験者は、このサービスを使うよりも、適当な会社に、就職してしまった方が、絶対いい、と思います!
開発案件は、実務経験なしNG
エンジニアが、派遣社員として働く場合、あるいは、フリーランスとして案件を受注する場合、必ずスキルを求められます。
プログラム言語やDB、FW、インフラ、CI/CD、サーバー関連……
面談やエントリーの際に、必ず、これらの実務経験の有無と実務経験年数を、聞かれます。
実務経験なしの場合、開発案件の受注は、ほぼ不可能です。
ここで重要なのが、実務経験です。
いくら、
「独学で学んだ」
「プログラミングスクールに通った」
と言っても、さほど、評価されません。
極端な言い方をすれば、
独学によって実務レベルまでスキルを身につけた人よりも、実務経験はあるけれど、業務内容や技術をさっぱり理解していない人の方が、評価されるのです。
派遣やSESの営業、クライアント企業のエンジニアが、エンジニアのスキルを確認します。
私は、新人の頃、とあるプログラミング言語スキルが、11ヶ月しかなく、SESの営業に、
「すみません、この案件は、11ヶ月では、ご紹介ができないんです。最低でも、1年(12ヶ月)必要なんです」
と言われた事があります。
エンジニアにそう言われるのならば、まだ、いいのですが、技術について理解していない営業に言われるのは、腑に落ちないですよね。。
(もっとも、エンジニアであれば、経験年数を杓子定規的に当てはめて評価をするような事はしないと思いますが。。)
それだけ、エンジニアの実務経験は、シビアに見られている、と言う事です。
お金(給料)を貰いながら、スキルや実務経験を獲得する方が賢い
お金を払って実務経験を積む「ギミジョブ」というサービスも、プログラミングスクールも、お金を払ってまで価値のあるものは得られないのではないか、と考えています。
それよりも、未経験でエンジニア職に就職する事をオススメします。
お金(給料)を貰いながら、プログラミングスキルも身につけられるし、同時に、実務経験も積む事が出来ます。
そもそもの話ですが、
未経験エンジニアが、お金を払って実務経験を身につけたとしても、プログラミングスクールに通ったとしても、大半は、SESに就職する結末になります。
SES業界は、エンジニアを志望していれば、未経験であっても歓迎されます。
SES企業は、常に、エンジニア人材を求めているので、入社試験や面接の難易度は、極めて低い傾向にあります。
(20代であれば、プログラミング未経験であっても、PCの電源が入れられれば、就職できる、SES企業を、私は知っています。)
それに、未経験であってもポテンシャルがあれば、SESではない普通のIT企業に入る事も、それほど、難しくはないと考えます。
お金を払っても、大半は、SESに行き着いてしまうのですから、それならば、最初からSESで、お金(給料)を貰いながら、エンジニアスキルや実務経験を獲得した方が、良いのではないでしょうか。
もちろん、スキルや実務経験を身につけたら、SES以外の企業への転職も視野に入れる事ができます。
(私は、SESに対して否定的に考えています。それでも、当該サービスを利用するくらいならば、SESに入った方がマシだと思います。)
未経験者が実務経験を積むのは、簡単です
ふと、次のような疑問が浮かびませんか?
「実務経験がないとNGならば、未経験はいつまで経っても、実務経験を身に付けられないではないか?」
大丈夫です。
一般的なIT企業ならば、新人研修が用意されていますし、新人研修が終われば、現場で、先輩エンジニアの下についてOJTが行われます。
未経験のエンジニアは、そこで、チーム開発や技術など、仕事の進め方を学ぶことができるのです。
つまり、未経験で実務経験がなくても、普通に就職は出来ます。
スキルシートに実務経験を書けるようになれば、転職は、もっと容易になります。
情報弱者を狙うサービスに注意
「ギミジョブ」やプログラミングスクール等を利用する人は、プログラミングやエンジニアに対して、過剰な期待をしている気がしています。
Fランク大学卒や専門卒、高卒、何かしらのコンプレックスを抱いている人達が、こういったサービスの利用者になってしまう印象があります。
もしかしたら「プログラミングで人生一発逆転!」と考えていませんか?
未経験であるがゆえに、「エンジニア」や「プログラミング」というものに、目を輝かせているのかもしれませんが、前述のようなサービスで身に付けられるスキルは、たかが知れています。
それに、まずもって、優秀なエンジニアは、前述のようなサービスを利用しないでしょう。
当該サービスでは、(お金を払って)スキルシートに書ける実務経験を積める、ということなので、最終的な目的は、就職や案件の受注を想定しているように思えます。
それを踏まえると、当該サービス利用者は、SESや客先常駐のエンジニアとなる可能性が低くないと感じます。
一発逆転とは、ほど遠い、結末かもしれません。
未経験エンジニアが、お金を払って実務経験を買うサービス
・業界を知らない情報弱者をターゲットにしたサービスという印象
・未経験でもエンジニア職に就職することは難しくない。お金(給料)を貰いながら、スキルや実務経験を獲得した方がいい
エンジニアを志望しているのならば、こういったサービスを利用する前に、情報収集力や情報リテラシィを高める方が先ではないでしょうか。