筆者は、エンジニア職です。
これまで派遣社員として、いろんな現場に参画してきました。
雇用が流動的な派遣社員にとっては、歓迎会、送別会がつきものです。
派遣社員は、頻繁に、歓迎会や送別会に駆り出されます。
今回は、派遣社員の送迎会の事情を書きたいと思います。
ちなみに、これらは、筆者が経験したことも含まれます。
1. 正規と非正規の格差
職場で、正規社員と非正規社員の断絶の痕跡を探すと、枚挙にいとまがありません。
社員食堂は、正規社員のみ利用可能、そして、業務においても、非正規に権限が付与されていないケースは、多々あるでしょう。
派遣社員として客先で働くと、このような細々とした正規との差異に、敏感になります。
こと、飲み会という場になると、不思議と正規と非正規の差異は、無くなります。
正社員と派遣社員が、混在して、お酒を飲み、食事をします。
しかし、日常で構築された堅牢なヒエラルキーが、空気を支配し、いつしか、互いのキャラクターとポジションが確定され、派遣社員は、道化師のように、振る舞うこととなります。
2. 誰もが望んでいない送別会
派遣社員が、その現場を去る契機は、
・派遣先企業から、契約終了を通告された
・派遣社員が、契約終了を申し出て、了承された
の、いずれかになります。
派遣先企業から、契約終了を通告されても、派遣社員が、契約終了を申し出ても、いずれの場合も、派遣社員、当事者にとっては、ネガティブなものです。
また、派遣先である企業にとっても、派遣社員に対して、契約終了の通達をしたり、派遣社員から辞めたいと伝えられたら、ポジティブなものでは、決してありません。
そこに、儀礼的に、送別会が組まれます。
送別会を望んでいない者と送別会に乗り気でない者が、参加する送別会
そんな送別会を開催する意味は、果たしてあるのでしょうか。
3. 派遣社員の送別会(体験談)
以前、筆者が、派遣社員として働いていた時の事です。
3ヶ月の短期案件に、参画する機会がありました。
参画が決定した時点で、短期であることは、確定していました。
勤務開始、そして、問題無く作業を終えても、3ヶ月後には、契約が終了です。
いよいよ、契約終了日が迫ってきた、或る日
「送別会を開くので出るよう」に、という通達を受けました。
断ろうと思った時には、事態は、確定事項になっていました。
そして、その時期は、3月でした。
3月末で、この部署を去る人は、私以外も、少なくありませんでした。
正社員、非正規社員、問わずに、離職する社員全員への送別会にするとのことでした。
ちなみに、
離職者は、6名
内訳は、
正規が、5名、非正規が、1名
です。
もちろん、非正規とは、派遣社員である私です。
送別会では、離職者が、前に出て、お別れの挨拶をすることになりました。
正規社員は、みな、かなり長い期間、就業していました。
一方、私は、たった、3ヶ月です。
私の前に、挨拶をされた女性は、30年ほど、在籍した方でした。
挨拶の途中、長年勤めた職場への思いが溢れたようで、涙で、声を詰まらせて、おりました。
30年在籍した正規社員の後、3ヶ月しか在籍していない派遣社員の私が、挨拶をしました。
はっきり言って、思い出も何もありません。
参加者一同が、苦笑ですし、私自身、一体全体、何をやらされているんだろう、と訝りました。
これは、罰ゲームのような場でした。
送り出す者、去る者、どちらにとっても、望んでいない場なのです。
4. まとめ(結論)
派遣社員の送別会とは、一体、何の為に行われているのか。
転職活動の合間に、派遣社員を経験する程度ならば、それでもいいかもしれません。
けれども、派遣社員という就業形態を希望して、派遣社員を生業としている人にとっては、ネガティブなイメージしか湧いて来ないでしょう。
所詮は、短い期間しか、関わらない人たちなのですから。
すると、もしかしたら、送別会という儀式自体が、「自動化」されているのでは無いか、とも考えることができます。
正規社員をベースに設計されたその送別会という儀式が、正規/非正規問わずに、人が、この職場から離れるという契機をトリガーにして、開催される、仕組みになっているのかもしれません。
それに、本質的な意味はあるのでしょうか。
考えてはいけません。
恐らく、その送別会に参加している人たちは、一人も考えていないでしょう。
考え始めたら、誰一人とて、満員電車に乗る人は居なくなってしまうのです。