「SESは、やめた方がいい」
IT業界への就職を希望している新卒就活生や異業種からエンジニアへの転職を考えている方なら、一度は、聞いた事のある言葉だと思います。
それから、多重下請け構造や劣悪な労働環境についての説明が加えられますが、SESに関わった事のない人にとって、具体的にどういった点が、働きづらいのかイメージしづらいかもしれません。
一介のエンジニアにとって、
SESは、やめた方がいい、
もっと分かりやすい理由は?
次のように言えば、分かりやすいと思います。
SESエンジニアは、職場で、いじめられます。
仕事を通じて、いじめを経験したくないならば、SESエンジニアは、辞めておいた方がいい、ということです。
SESの現場で、肉体的にも精神的にも疲弊し、ドロップアウトするエンジニアが少なくない現状がございます。
それの原因は、この「いじめ」によるところが少なくありません。
ではなぜ、SESエンジニアがいじめの対象となるのでしょうか?
それは、
・誰でも出来る簡単な作業のみを担う
・稼働してもスキルが身につかない環境
・クライアントが人事権を持っている
・契約(雇用)が不安定
という理由からです。
SESエンジニアとは、有期稼働(単発・短期)で、代替可能(使い捨て)な要員なのです。
加えて、どれだけ稼働してもスキルアップができない環境で従事することになるので、いつまでもその環境から逃れることができなくなってしまいます。
すると、クライアントが上でSESエンジニアが下という格差的、差別的な役割が固定され、ずっと続いていくこととなります。
SESエンジニアとして稼働する以上、この関係性から逃れる事は困難となります。
当然ですが、どの職場も、「私たちの職場にいじめはあります」とは、口にしません。
しかし、クライアントとSESエンジニアの間で、対照的な力関係が存在している以上、
クライアントは、SESエンジニアを、自分よりも「下」でかわいそうな存在、として接してきます。
SESエンジニアは、自分は何も出来ない存在と認めながらクライアントに媚びへつらい、クライアントを自分よりも「上」の存在として接するようになります。
SESエンジニアは続けるほどに、自己肯定感が下がっていきます。
それは、表面的な言葉で「いじめ」と定義せずとも、内実は、学校や職場で起こっている「いじめ」として顕在化しているのです。
SESエンジニアは、肉体的精神的な負荷が掛かり、疲弊していくこととなります。
SESエンジニアがいじめを逃れるには
それでは、SESエンジニアは、このいじめから逃れる事は出来るのでしょうか?
残念ながら、それは難しいと言わざるを得ません。
例えば、
学校のいじめは、大概が、「一律の集団」の中で発生するものです。
なので、何かのきっかけで、いじめが解消する事はあり得ます。
しかし、ことSESの現場では、クライアントとSESエンジニアの間における差別的な役割が固定化されていて、且つ、この差別や格差が永続化していく構造であるので、SESエンジニアに対するいじめが解消される事は難しいと考えられます。
SESに従事し続ける限り、エンジニアは抑圧され続けることになります。
それでは、エンジニアはどうするべきでしょうか?
SESエンジニアが取るべき手段は、大別すると、次の2つになります。
・SESを辞める
・SESエンジニアであることを受け入れる
SESを辞める
SESを辞めると、SESの差別や格差の構造から逃れられます。
優秀なエンジニアは、すぐにSESを辞めてしまいます。
SESエンジニアであることを受け入れる
一般的に、SESには、優秀なエンジニアがいないと言われています。
SESエンジニアとして稼動を続けるには、自分がSESエンジニアであるということを受け入れる必要があります。
自分が「SESエンジニアであることを受け入れる」ということは、
自分が他の人よりも劣っている存在、
と認めることと同義になります。
新しい知識やスキルを身につけることを放棄し、
モチベーションは無い、
新しいことはやりたく無い、
自分ができることだけをやりたい、
そんな思考停止したような状態で、
誰でもできる事を、ひたすら繰り返しながら、
日々が過ぎていく。
それが、SESエンジニアの姿となります。
ちなみに、
俺は絶対、こんなみっともないSESエンジニアには、ならない!
と反論される方もいらっしゃると思いますが、無駄です。
誤解を恐れず言えば、
SESエンジニアは、必ず、前述のような悲惨な像を結びます。
なぜなら、SESのいじめ問題の根底には、構造や環境的な要因が孕んでいるので、いくら個々のエンジニアの主体に訴えかけても無意味だからです。
エンジニアの主体の話になると、往々にして、辞めるか、受け入れるか、の対極に至ることになります。
SESをやるべきでは無い理由は、SESエンジニアがいじめの対象となるからです。
SESいじめは、環境的、構造的な問題であり、それにより、精神疾患等の病で、職場から消えるエンジニアは、昨今珍しくありません。
だから、SESはやめておいた方がいいのです。
これから、SESエンジニアを目指す人にとっては、いささか、夢のない話であったかもしれません。