「SESエンジニアは商品だ」——そう言われたら、あなたはどう感じますか。
不快に思う方もいるかもしれません。しかし、これは侮辱ではなく、SES業界の構造的な現実です。
私は、フリーランスエンジニアをやってます。
SES・派遣社員・客先常駐を長く経験しました。
本記事では、SESエンジニアが「商品」として扱われる理由と、その現実を体験談をもとに解説します。
目次
SESの仕組みを理解すると、「商品」の意味が分かる
まず、SESビジネスの構造を整理します。
【SESビジネスの仕組み】SES企業 → エンジニアをクライアントに派遣 → 人月単価でクライアントから報酬を受け取る
つまり、エンジニアの稼働時間そのものが、SES企業の収益です。
SES企業にとって、エンジニアが稼働していれば収益が発生します。
逆に、エンジニアが稼働していなければ、収益はゼロです。
この構造において、エンジニアは「人材」ではなく「在庫」に近い存在です。
この会話の裏側では、エンジニアの稼働が「売上」として計上されています。
エンジニアの技術力は「建前」、接客が「本業」
SES・客先常駐の仕事では、「技術力が大事だ」とよく言われます。
もちろん、技術力は必要です。しかし、それだけでは不十分です。
実態は、クライアントに好かれることが仕事の本質です。
どれだけ優秀なエンジニアでも、クライアントに気に入られなければ契約は終了します。
逆に、技術力が平凡でも、クライアントに好かれれば契約は延長されます。
これが現実です。
【客先常駐で本当に求められること】
技術力(建前)
↓
クライアントへのご機嫌取り・媚びへつらい(本音)
↓
契約延長(目的)
エンジニアは、技術者である前に、「クライアントに好かれる商品」であることを求められます。
生殺与奪の権は、常にクライアントが握っている
客先常駐の仕事で最もメンタルに堪えるのは、契約の継続・終了の決定権が、完全にクライアント側にあることです。
この一言で、すべてが終わります。
理由を聞いても、明確な答えが返ってくることはほとんどありません。
商品は「なぜ売れなかったのか」を知ることができません。
エンジニアにできることは、ただ次の現場を探すことだけです。
【体験談】エンジニアが「商品」だと痛感した瞬間
とある客先常駐の現場での話です。
プロジェクトの中心に、非常に優秀なエンジニアがいました。
メンバーからの人望も厚く、そのエンジニアがいないとプロジェクトが成り立たないくらいでした。
ただ、そのエンジニア、クライアントとのコミュニケーションが良くありませんでした。
それとは対照的に、技術力は皆無なのに、クライアントに、ひたすらペコペコしているエンジニアもいました。
数ヶ月後、クライアント社内で予算調整の話があがりました。
その結果、優秀なエンジニアが切られてしまいました。
残ったのは、技術力ゼロの、クライアントの靴を舐め続けていたエンジニアでした。
理由はそれだけです。
技術力も、貢献度も、メンバーからの評価も、一切関係ありませんでした。
クライアントに気に入られた商品が残り、気に入られなかった商品は棚から外される。
ただ、それだけのことです。
目の当たりにして、私は確信しました。
SESエンジニアにとって、技術力は最低条件に過ぎない。本当に求められているのは、クライアントに好かれることだ。
これが、客先常駐の現実です。
ちなみに、優秀なエンジニアが切られた後の現場は、想像通りです。
クライアントにペコペコしているエンジニアばかりなので、非常に技術レベルの低いプロジェクトになってしまいました。
使い捨てにされる構造的な理由
SESエンジニアが使い捨てにされるのは、個人の問題ではありません。
構造的な問題です。
【SESエンジニアが使い捨てにされる3つの理由】
① 契約が短期間
準委任契約は1〜3ヶ月単位が基本。長期的な関係を築きにくい構造になっています。
② クライアントにとって「外部の人間」
どれだけ貢献しても、正社員とは扱いが違います。予算削減の際、最初に切られるのは外部のエンジニアです。
③ SES企業の利益構造
SES企業にとって重要なのは「稼働率」です。エンジニア個人のキャリアより、稼働させ続けることが優先されます。
つまり、SESエンジニアは、構造上、使い捨てにされやすい立場に置かれています。
おわりに
SESエンジニアが「商品」として扱われる現実は、あなたの能力や人格の問題ではありません。
SES業界の構造的な問題です。
ここまで読んで、暗い気持ちになった方もいるかもしれません。
しかし、この現実を直視することが、自分を守るための第一歩です。
では、この構造の中でエンジニアはどうやって心を守ればいいのか。
具体的な方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。
本記事が、消耗しているSESエンジニアの方にとって、現状を見直すきっかけになれば幸いです。


