オフィス街

カスハラについて考察する

customer harassment

カスハラという言葉があります。

 

カスタマーハラスメントの略語で、

小売業やサービス業などで、悪質な客からのクレームで従業員が追い詰められる、

という意味とのことです。

 

最近では、モンスタークレーマーという言葉も、頻繁に耳にするようになりました。

都市に限らず、日本に住んでいれば、誰しも、

カスハラやクレーマーの現象は、一度は、目や耳にしたことがあります。

 

カスハラについて、考察します。

 

 

1.クレーマーは悪なのか?

カスハラやモンスタークレーマーと聞いて、どのような情景を思い浮かべるでしょうか。

 

恐らく、皆、もれなく、

店員がモンスタークレーマーに怒鳴り散らされ、罵詈雑言の嵐を受けている状況を、

思い浮かべるでしょう。

 

つまりは、

  • モンスタークレーマー = 悪(加害)
  • 店員 = 善(被害)

の図式になります。

 

モンスタークレーマーは悪い存在です。

カスハラやクレーマーに関する、どの記事や言説を見ても、

そのような印象を植え付けられます。

 

本当にそうなのでしょうか?

 

私は、

「モンスタークレーマー = 悪(加害)」

「店員 = 善(被害)」

の構図にはならないと考えています。

 

では、

どういう構図になるのかいえば、

「モンスタークレーマー = 悪(加害)」

「店員 = 悪(加害)」

という関係性になります。

 

両方が、悪(加害)になります。

順に、確認していきます。

 

2.悪が悪を生む構造

モンスタークレーマーが悪(加害)で、店員が善(被害)という形は、

勧善懲悪的で、非常に分かりやすい構図になっています。

 

しかしこの構図になるならば、

悪は打倒されるべき存在とならざるを得ません。

換言すれば、

店側が、問題を起こす客に対して、

何らかの対処や自衛策を構築する流れになる、

ということです。

店側が、ひたすらクレーマーの被害を受け続けているのに、

何の対策も取らないのは考え難い状況です。

 

店側は、対クレーマーの対策を取るようになります。

 

マニュアルを作るかもしれません。

あるいは、

従業員同士で、クレーマーのパターンを定義付けし、対策を共有するかもしれません。

 

現れたクレーマーに対して、クレーマー対策を行い、見事、撃退に成功。

悪をやっつけた形になります。

一件落着。

これは、何も問題が無いように思えます。

 

しかし、この場合、

あくまで、店員が、クレーマーに対してクレーマー対策を行った場合の話です。

 

では、

店員が、クレーマー対策をクレーマーでは無い一般の客に行ったとしたらどうでしょうか。

普通に買い物に来た客に向かって、店員が迷惑行為を行うということです。

 

この場合、

「一般客 = 善(被害)」

「店員 = 悪(加害)」

という、主客が逆転した構図に変わります。

 

突然、一般客に向かって店員が暴力を振るうというと、

一見して、奇天烈な論に思えますが、

特段、珍しいものでもありません。

 

一般客に対する、店員の理屈のない攻撃。

それは、次の理由からです。

 

クレーマーに対する、際限ない自衛の強化

店員側がクレーマーへの自衛を強化すればするほど、

全体性としての客に対する、攻撃性や非寛容性が高まらざるを得ません。

 

クレーマーの認定は、店側の主観

客をクレーマー認定するのは、店員の主観によるものです。

 

この2つの理由が、相まった時、店員がクレーマー化する危険性が高まります。

この場合、一般客が、店員のクレームを受ける形となります。

アンチカスハラの状況下に巻き込まれることになります。

 

3.私のアンチカスハラ体験談

私のアンチカスハラ体験を書いておきましょう。

 

ファストフード店で、テイクアウトで注文しました。

帰り道、右手で持った商品の中身が軽く感じたので、

途中で、開いてみると、注文した商品が入っていませんでした。

 

家路だったこともあり、そのまま店に引き返しました。

レジの店員に、

購入したレシートと商品の入った袋を渡して、

注文した商品が入っていなかったことを伝えました。

 

すると、

店員は、露骨に警戒心に満ちた表情をしました。

そして、

「クレームはやめてもらえますか?」

と言われました。

「うちの店、最近、クレーマー多いんですよ。困っています」

 

特に、相手を攻め立てるような強い口調で言った訳ではありません。

私は、普通に、購入した商品が入っていなかった旨を、伝えただけです。

クレームなど一切していないのに、クレーマー扱いをされてしまいました。

なんだか、クレーマーに文句を言われたような感覚が残りました。

 

結局は、その店員から購入した商品を渡されて、

それを家に持ち帰り、食べたのですが、不愉快で、全く味がしませんでした。

 

店員側の過失で、もたらされた客側の不利益を、

普通に(罵声を浴びせるなんてことをせずに)主張しただけで、

こちらがクレーマー扱いされる恐れがある、ということです。

 

クレーマーに対する自衛の強化と主観によるクレーマー識別は、

何の問題も起こしていない顧客を、

簡単にクレーマーと定義付けて、攻撃対象とすることをもたらします。

 

カスハラとは、一見、店側が被害者のようであるが、

一般客が被害に遭う危険性の孕む、巧妙なロジックとなっております。

 

悪が悪を生成して、連鎖するようにまた悪を生み出します。

互いのギスギスした関係が、よりギスギスした関係の補強に繋がります。

 

最終的な結論としては、

危ないところには、近づかないほうがいい、となってしまいます。

だから、店員を、コンピュータに置換した方がいい、と思うんです。

 

都市の生活では、普通の買い物すら危険を伴うということです。

ABOUT ME
普通のフリーランスエンジニア マノリさん
1981年生。早稲田大学卒。秋葉原(外神田)在住。フルリモートで作業中。昼は人で溢れかえり、夜は誰もいなくなる電気街で、仕事を頑張る。趣味は、小説と散歩