SESや派遣で働くエンジニアで、仲介手数料(中間マージン)を気にしない人はいないでしょう。
かつて、私は、SESで働いていた時、ふと、このように思いました。
仲介手数料を搾取している仲介会社を退かす事ができれば、その仲介手数料分、自分の収入が増えるのではないか?
仲介会社がいなくなれば、クライアントが負担する仲介手数料が浮くはずです。
エンジニアに還元することもできます。
クライアント側にとっても、費用が抑えられます。
エンジニアとクライアントで分ける事も可能です。
よし、試してみよう!
ということで、
私(エンジニア)は、実際、仲介会社を退かした事があります。
結論を言うと、
仲介会社を退かしてクライアントと直接契約(直請け)をしても、エンジニア側の取り分は、増えませんでした。
むしろ、クライアントに買い叩かれて、取り分が減ってしまいました。
目次
【体験談】仲介を退かしてクライアントに直接契約を持ち掛けたら、歓迎された
今から10年前、2010年頃だったと思います。
その時は、SESの仲介会社を通して、とある開発案件を受注しました。
しかし、案件の悪条件や仲介したSES企業にあまり良い印象がなかった為、辞退しようと考えていました。
辞退をして、はい終わり、ではなく、ふと、
クライアントに直接取引を持ち掛けたら、どうなるのだろう?
という疑問が頭に浮かびました。
クライアント企業の名称や所在地は、客先面談で一度、伺っているので、把握しています。
企業名をググると、一発で、クライアント企業の特定が完了。
電話番号やメールアドレスが掲載されていて、問い合わせフォームもあります。
早速、私は、クライアント企業にメールで連絡をしてみました。
「先日、〇〇仲介会社からご紹介を受けて、△月×日に面談をしたものです」
という文言と直接契約を考えている旨を伝えると、すぐに、先方から連絡が戻ってきました。
クライアント企業は、私(エンジニア)が申し出た、直接契約を、非常に喜んでいました。
(もちろん、仲介会社には内緒です)
仲介を通すより直接契約では、契約条件が悪くなった!
ここからが問題です。
仲介企業を退かしたら、エンジニアがクライアント企業と、直接、契約を交渉しなければなりません。
前述の通り、このクライアント企業からは、仲介企業を介して既に、私と契約をしたいという返事と、契約した場合の金額等の条件を頂いておりました。
私は、仲介企業を退かした場合も、その条件に沿って、クライアント企業と契約をしようと考えていました。
仲介から提示された金額に仲介手数料の数パーセント分を載せてをクライアント企業に伝えました。
例えば、
■ [エンジニア ー 仲介 ー クライアント] の場合
仲介 => エンジニアで「100万円」と提示されていたけど、
■ 仲介を退かして、[エンジニア ー クライアント] で、
私「クライアント => エンジニアで『105万円』でいかがでしょうか?」
という感じです。
結果は・・
クライアント企業から私(エンジニア)に、提示された金額は、かなり安い金額でした。
■ [エンジニア ー クライアント] の場合
クライアント担当者「クライアント => エンジニアでは、『100万』ではなく、『80万円』でいかがですか?」
という具合です。
繰り返しますが、クライアント企業にとっては、仲介手数料が浮きます。
エンジニアの報酬金額が変わらないのならまだ分かるのですが、なぜ、減らされるのかが理解できませんでした。
仲介手数料は、保証のようなもの
クライアント企業が、エンジニアと直接契約をすることには、リスクが伴います。
契約後、スキルを満たしていないことが発覚して使い物にならないかもしれませんし、途中で、連絡がつかなくなってしまう可能性もゼロではありません。
その直接契約のリスクを解消する為に、クライアント企業は、仲介手数料を払って仲介企業を通します。
要するに、保証みたいなものですよね。
一介のフリーランスエンジニアが、企業と直接契約をするのは、なかなか難しいのです。
仲介会社を通じてこそ、案件の獲得がたやすくなるのです。
当時、私は、理解していませんでした。
単純に、中間マージンを抜くだけの、エンジニアの敵のように錯覚していたので。。
多重商流の場合、余分な仲介を取り除こう
と、これまでの話は、あくまで、一次請けの場合の話です。
2次請け、3次請け…などの多重商流の場合は、進んで、商流を飛ばしていくべきです。
2次請け以下の商流の場合、商流飛ばしをすれば、エンジニアの取り分が増える可能性は高いです。
現在では、エンジニアの直接契約案件が増えている
前述の話は、2010年の事なので、ざっと10年以上前の話です。
では、現在も、仲介会社を退かしてクライアント企業と直接契約をしたら、エンジニアの稼働条件は、仲介会社の時よりも、悪くなるのでしょうか?
答えは、ノーです。
今では、エンジニアは、クライアント企業と直接契約をしやすい環境になっていますし、単価や条件も、下がりにくいです。
10年前に比べて現在では、エンジニアとクライアントを直接結ぶ、求人・案件サイトが多く出てきています。
(ここで言うサイトとは、クラウドワークスやランサーズではありません)
そのようなサイトのおかげで、エンジニアはクライアントと繋がりやすくなりました。
そのサイトを通じて、仲介企業を通す場合と同条件、あるいはそれ以上の好条件で、直接契約を結ぶことが可能となりました。
ただ、このようにエンジニアと直接契約を進んで行なっている企業は、どちらかというと、スタートアップ系の小規模企業が多い印象です。
これからは、
・大企業案件 = SES(仲介会社)経由
・スタートアップ案件 = 直接契約
という棲み分けに拍車がかかっていくかもしれませんね。