SES・派遣

【SES・派遣】多重商流の悲劇

commercial distribution

SESの多重請負は、絶対に、引き受けてはいけません。

 

今回は、多重請負で参画した場合、

どんなトラブルが発生するか、経験談をもとに、書きたいと思います。

 

この記述を通じて、

SESの多重請負について、警鐘を鳴らしたいと考えています。

 

SES多重請負の経験

ソフトハウスの正社員としてSESで客先常駐をしていたことがあります。

Javaの開発案件で、担当工程は、製造・テスト。

クライアントは、大手の電機メーカーでした。

 

零細企業の正社員だった私は、

当然、複数の商流を跨いで、現場参画に至っていました。

 

この現場は、確か、4次請けでした。

 

常識的に考えて、

4次請けとは、

商流の深さがそのまま自分の報酬に返ってくるのですから、

まず避けるくらいの商流ですが、

 

新人時代で、若かったということと、

正社員だったので、もらえる給料額もある程度、決まっていたこともあり、

言われるがままに、引き受けて稼働していました。

 

期間は、三ヶ月くらい。

期間が満了したら、また別の現場を探し歩くという算段です。

 

参画して稼働すると、進捗良好で、早めに終了に向かいました。

そして後半は、やることがなくなりました。

 

業務と関係のない仕事を頼まれ

そこで、この大手の企業。

別部署で持っていた、開発とは全く異なる案件を、暇な私にやらないか、

と進めてきました。

 

その業務とは、

この企業のクライアント先で全国にある支社のPCにソフトをインストールする

という案件です。

 

やる事が無くなっていた私は、

出張という名目で、気分転換も味わえるだろうと思い、

はい、別にいいですよ、と二つ返事で、引き受けました。

 

私の担当場所は、

・青森

・盛岡

になりました。

 

新幹線に乗って拠点に移動。

二つの拠点を二日に渡って訪問し、

ソフトをインストールして動作確認をして問題がなければ終了です。

ホテル宿泊ありです。

(実際は、二日目の作業に時間がかかり後泊もしました)

 

完璧にマニュアル化されている、ということと、

作業をしながら本部と連絡を取り合うので、新人でも、たやすい作業でした。

 

それで、いざ、現場に向かいます。

 

私自身、

研修受講済みで、作業内容を十分理解していました。

トラブルが起きても本部の指示を仰げる状況だったので、

不安というより完全に、観光気分が強かったです。

 

4次請けの弊害が顕在化した

問題は、ここからです。

 

既に述べた通り、

私は、「4次請け」で現場に入っていました。

 

このインストール案件、作業自体は簡単です。

ただ、次のような流れで、本部や営業に、電話を入れる必要があります。

 

・N時に、xx駅に着いた。

・N時に、xx現場に入った。

・N時にxx現場のxxで作業を開始した。

……

 

事細かく作業確認の連絡を、入れなければなりません。

こちらから連絡をしなければ、向こうから確認の電話がかかってきます。

 

ここまで書けば、もう、想像がつくかもしれません。

電話連絡を入れる相手は、

  • 本部(常駐先のクライアント)
  • 1次請け営業
  • 2次請け営業
  • 3次請け営業
  • 4次請け営業(所属)

この5人になります。

 

普通に考えれば、

本部だけとやり取りをすれば十分だと思うのですが、

なぜか、上記の状態になってしまっていました。

 

つまり、

予定している時間帯に、

5人一斉に、電話報告をすることができないのです。

 

だから、私は、本部から順番に、電話報告をしていきました。

すると、本部と1次請けへの報告が完了した辺りで、

2次請け、3次請け、4次請け(所属)から電話がかかってくるのです。

不機嫌な声色で、きちんと定刻に報告をしてほしいと、怒られます。

 

作業の細かい工程ごとに、結構な頻度で、この電話連絡をする必要がありました。

 

つまり、

作業Aをして、電話報告、次に作業Bを着手、電話報告……

という流れをです。

 

そして、恐れていたことが起きました。

作業よりも、電話連絡に、時間が取られるのです。

5人への電話報告に、手間取り、

各工程の着手と完了が、徐々に、後ろ倒しになっていき、

最終的には、5人から、一斉に連絡が入るという状況になりました。

 

どんどん、進捗は、遅れていきます。

当たり前です。

私がやっている作業は、

本業務であるはずのインストール作業ではなく、

5人と電話で話すという作業になのです。

 

それで、結果、どうなったのか。

ケータイ(ガラケー)が電池切れを起こして、

電話が繋がらなくなりました。

 

常時、電話が鳴りっぱなしなのですから、当然の帰結です。

その後、電話連絡をせずに、インストール作業に集中。

作業自体は、それほど難易度の高いものではないので、問題なく終わりました。

 

最後に、この支店の電話をお借りして、本部に連絡を入れて無事完了です。

 

他の4人の営業には、その後、連絡を入れなかったので、カンカンに怒られました。

所属の営業は、私の自宅を調べて、なぜか、自宅に連絡をしたそうです。

それだけ、営業が焦っていた?ということでしょうか。

 

PCソフトのアップデート作業。

マニュアルあり。

新人のエンジニアでもできる、簡単な作業です。

 

でも、業務と全く関係ないところで、

どうして、こんなに苦労しなければならないのでしょうか。

 

商流が深い案件とは、

業務と関係の無い苦労やリスクが、増える案件なのです。

ABOUT ME
普通のフリーランスエンジニア マノリさん
1981年生。早稲田大学卒。秋葉原(外神田)在住。フルリモートで作業中。昼は人で溢れかえり、夜は誰もいなくなる電気街で、仕事を頑張る。趣味は、小説と散歩