面談・打ち合わせ

初回面談で「守秘義務の遵守は大丈夫?」と聞かれて

meeting nda

発注者と受注者が初めて会ってから、

「これからも末長くよろしくお願いいたします」

と、契約を交わして、受注する過程において、

「本当にこの人は、信頼に足る人間なのか」

と、隠された内面を探ろうとあれやこれやと探りを入れます。

 

それは、発注者側からの視点に限りません。

受注者側も同様です。

 

受注者は、まず、契約書を精読して、受注者が不利にならないか、納得のいく契約内容であるか、を確認します。基本です。

これに加えて、

契約の前に、初回面談等で事前に、発注者と接触する機会があれば、発注者の人間性をチェックしておくことは要諦です。

偶に、奇天烈な発注者が現れます。

 

個人情報への執着

以前、クラウドソーシングで繋がった発注者がいました。

場所は赤坂。

スタートアップ企業といった感じでした。

雑居ビルの低層階、しっかりとしたオフィスです。

発注者は、従業員数人を抱えた、法人経営者でした。

 

BtoC案件です。

つまり、社内業務で使用するシステムではなく、一般顧客をターゲットにした内容の案件です。

それもあって、

発注者は、個人情報の扱いについて、敏感になっていました。

事あるごとに、

「守秘義務遵守できますか」

といってくる。

 

当たり前ですが、当然、守秘義務は、遵守いたします。

守秘義務を遵守できなければ、仕事など受注できません。

 

そこで、話は終わりかと思っていたら、終わりませんでした。

この発注者の個人情報への執着は、度を越していました。

 

1時間の打ち合わせの中で、

「個人情報の取り扱い、大丈夫?」

という問いだけで、最低50回は超えていました。

(話の間に、この確認を入れてくる感じです。)

 

初めのうちは、

真摯に答えていましたが、

発注者が、機械のように同じ問いを繰り返されるので、

私も、機械のように同じ回答を繰り返していました。

 

法人ではなく、個人に発注するわけですから、その辺を非常に気にするのでしょう。

段々と、私も、繰り返されるこの質問に萎えてきました。

「個人情報の取り扱い、大丈夫?」

「それほど気にされるならば、私のような個人にではなく、法人に発注された方がいいのではないでしょうか」

そう提案しました。

 

すると、

「それは個人情報の取り扱いに自信がないから、そのようなことを言っているのかい。そんな捻くれた言い方はダメだよ。『個人情報の取り扱いには、自信があります』って言ってくれないと」

と返されました。

 

それから、

いかに我が社が、個人情報の取り扱いに細心を払っているか、を滔々と説明されていました。

 

この会社を後にして、乗り込んだエレベータの扉が閉まった後、

ふと、

案件内容のお話よりも、個人情報の取り扱いについての話に9割ほど費やされていた

ことに気づきました。

 

どうせ、お見送りになるだろう。

と考えていたら、

是非、仕事をお任せしたい。

というメールが届きました。

 

私は、少し考えました……

 

そして、

「個人情報を気にされていたので、法人の方に発注された方が、御社にとって、最良と存じます」

という理由を付けて、辞退メールをお送りした。

 

実は、面談が、5割がた進んだ時点で、心の中では決定していました。

 

私から辞退連絡を入れる直前に、

この会社は、発注する気満々だったのでしょう。

案件の資料一式が送られてきました。

 

それを見て、驚きました。

添付フォルダの中に、この会社の顧客個人情報入りのダンプファイルが含まれていました。。

しかも、パスワードもなし。。

 

御社は、個人情報の取り扱いに細心を払っているのではなかったのか。。

 

ちなみに、辞退理由の本音は、個人情報云々ではありません。

辞退理由の本音は、面談時のこの発注者の挙動が、

個人情報個人情報個人情報個人情報個人情報個人情報個人情報個人情報個人情報個人情報個人情報個人情報個人情報…

と不自然に感じられたからです。

 

一歩踏み込んで言います。

この発注者は、おそらく、個人情報以外の点でも、変な言いがかりをつけてくるのではないか、と感じました。

だから、自衛の意味で、一緒に仕事をすることをお断りさせていただきました。

 

これらの見分け方は、やはり、場数を踏まないと難しいと感じます。

私は、経験を重ねるごとに、見分ける精度が高まっていると自負しております。

 

皆誰しも、無駄な時間を、使いたくはないですよね。

ABOUT ME
普通のフリーランスエンジニア マノリさん
1981年生。早稲田大学卒。秋葉原(外神田)在住。フルリモートで作業中。昼は人で溢れかえり、夜は誰もいなくなる電気街で、仕事を頑張る。趣味は、小説と散歩