派遣やSES企業との初回面談の際、ヒアリングが行われます。
エンジニアが、営業に希望条件を伝えて、
営業が、エンジニアに案件を紹介する際の参考にするというものです。
これって、意味があるのでしょうか。
結論を先に書いてしまえば、
エンジニア側からすると、あまり意味はありません。
営業側からすれば、人材を評価する場のような意味合いになっています。
目次
1.ヒアリングとはどのようなものか
エンジニアが仲介会社を利用して案件を獲得する場合、
エンジニアは、
希望職種やこれまでの業務経験、希望の勤務地や希望単金、その他条件など、
仲介企業のコーディネータや営業から、ヒアリングを受けます。
希望条件は、主に以下のような内容です。
- 単金
- 勤務場所
- 稼働時間
- スキル
- その他特記事項
などです。
希望条件が一つだけならば、それをもとに、
希望条件が複数ある場合は、優先順位をつけていき、
希望に近い案件を探します。
「僕は兎に角稼ぎたい、単価の高い案件がいいです」
「私は、自宅から近いところで稼働したいです」
派遣会社やSES企業経由でエンジニアをやっている者ならば、仲介会社との、このようなやり取りは馴染みがあると思います。
求人サイトでめぼしい案件に応募して、
仲介との初回の顔合わせで、このヒアリングが実施されます。
初対面のエンジニアに、案件マッチングを探る際、この希望条件を確認しない営業は、いないと思います。
希望条件確認がない場合は、
- すでに、参画する(参画したい)案件がほぼ固まっている
- 営業が、スキルや人間性において、そのエンジニアを見限っている
という場合でしょう。
2.ヒアリングの意味とは
何度も、ヒアリングを経験して、私は、ふと思いました。
果たして、エンジニアが希望条件を提示して、それに合致する案件は提示されるのだろうか。
希望条件に合致した案件が出てくることは、かなり難しいと思っています。
ちなみに、求職者であるエンジニアは、
ある程度、経験があり、十分に案件を選択できる状況という想定で話を進めます。
新人や低スキル者では、希望以前に、紹介いただく案件の数自体が、限定される為です。
仲介は、自身が持っている案件の中から、
エンジニアの希望に沿った案件の紹介をするわけです。
エンジニアが、いくら希望を提出しても、持っていないものを紹介しようがありません。
つまり、仲介が保有している案件の中から、
「妥協」を含めた擦り合わせが重ねられていき、
マッチングが達成される、と考えております。
「単金の高い案件に関わりたい」
自身のスキルに応じて、大体の単価は、市場で決まっています。
その範囲の中から、選択するということに過ぎません。
クライアントの予算で上下する場合は、多少ありますが、
大体の相場は決まっているので、それよりも大きく単価が上がるということは稀です。
仮に、自分のスキルで、相場以上の単価が提示された場合は、裏に何かあると思った方がいいでしょう。
また、反対に、相場よりも低い金額を提示される場合もあります。
その場合、商流が深くなっていないか等を確認した方がいいですね。
「近いところで稼働したい。もっというと、満員電車に乗りたくないから、今住んでいるところ、あるいは、隣駅までで募集している案件がいいです」
そんな都合よく発生するとは限りません。
渋谷駅や東京駅あたりには、案件がたくさんあります。
ジリジリと会話が進んでいき、
まあ、そこでいいか、とマッチングが成されます。
「B to Cの開発に関わりたい」
「Scalaの開発に関わりたい」
「フロントエンドの開発に関わりたい」
仲介がその案件を保有していないことには、紹介のしようがありません。
仲介が保有している案件から、エンジニアと営業の間で、擦り合わせをしていき、
最終的には、B to C でもない、Scala でもない、フロントエンドでもない案件に、参画が決定します。
3.実際、営業に聞いてみた
私は、かつて、派遣エンジニアで働いていた時、ヒアリングで、
「一番の希望は、私は、Web系の経験が多いので、例えば、アプリ開発など、あまり関わったことのないことをやらせてくれるクライアントだったら最高です」
と答えていました。
Web系だけでなくアプリ系の開発もできれば、自分の価値を高められるし、何より、今までやったことのないことをやることは楽しいからです。
しかし、前述の通り、
PHPの経験が多いことが分かると、紹介頂くのは、PHPの案件ばかりになります。
Javaの経験が多いことが分かると、紹介頂くのは、Javaの案件ばかりになります。
では、ヒアリングとは、一体なんの意味があるのでしょうか。
と思い、
何人かの派遣やSESの営業の御方に、確認をさせて頂いたことがあります。
営業は、
「ヒアリングにおける希望条件の確認は、意味がない」
と仰っていました。
そして、希望条件の確認とは、いわば世間話みたいなものとのことで、
ヒアリングの場を通じて、
この応募者の方は、信用できる方なのかどうかを、見ている、
ということでした。
それならば、なんとなく、納得がいきますね。
私は、現在、リモートワークエンジニアですが、
これまで、派遣やSESで、客先常駐エンジニアを、10年以上続けてきました。
私は、希望条件の確認に段取りが進むと、
「なんでもいいです」
と答えるようにしています。
実は、互いの時間が無駄にならない、合理的な回答であります。
もっとも、現在は、リモート案件しかやっていないので、
最初に「リモート希望」と伝えた時点で、
大分、案件が絞られてしまいます。
リモート可能か常駐かの二択しかなくなるので、
次に、「(リモートは案件数が少ないから)常駐やりませんか」と勧められます。
断ると、そこで、ヒアリングは終了です。
(ヒアリングの段階でこれでは、時間の無駄なので、面談の前で一応、確認はしますが)
中には、リモート案件必須と言っているのに、「常駐やりませんか」と常駐案件を寄越してくる仲介もいますけど。
ヒアリングの意味がないですね。。