SES・派遣

中小SESの自社開発が失敗する理由

ses self development

現代日本には、実に多くのSESが存在しています。

大手から中小、零細まで、SES企業の規模は様々です。

 

どのSES会社も、ユニークな企業特徴を前面に出そうとします。

なぜなら、SESというだけならば、他社との差別化が図れず、埋没してしまうからです。

 

そこで、「自社開発」という言葉が登場します。

「弊社では、SESだけではなく、自社開発も行なっております」

 

実際、SESに加えて、本当に自社開発を行なっているならば、何も問題ありません。

ただ、中には、特に、中小や零細のSESと話をすると、決まって、

「ゆくゆくは、自社開発をやっていきたい・・」

と言う会社が少なくありません。

 

「ゆくゆくは、自社開発をやっていきたい・・」

つまり、今は、SESしかやっていないという事を表しています。

今回の記事は、この「ゆくゆくは、自社開発をやっていきたい・・」と発言する中小SESに、警戒せよというお話です。

 

SES企業への入社自体、オススメしませんが、

特に、中小SES企業で、“SESのみを事業の核にしている企業への入社は、止めるべきです。

 

 

1. 自社開発への夢を語る、中小SES

求人サイトには、実に、多くのSES企業が掲載されています。

「IT」や「システム開発」というカテゴリを開いて、勤務地が、はっきりと明記されていないものは、ほぼSES企業です。

中小、零細規模のSES企業の求人に、応募すると、ほぼ100%、面接に進む事ができます。

 

SES企業の求人に応募。

面接や面談の段取りになると、面接官から、この会社の事業内容について説明を受けます。

このSES企業が、中小零細で、事業内容が、SESしか無い場合、面接官は、ほぼ確実に、次のような事を言います。

「今は、SES事業しかやっていないけど、ゆくゆくは、自社開発もやっていきたいと考えています」

 

「ゆくゆくは、自社開発もやっていきたい」と言う、事業内容がSESのみである中小零細企業が、自社開発を事業展開する機会は、訪れません。

つまり、このような中小零細SESは、ずっとSESをやり続けることになります。

 

SESを嫌がるエンジニアは、少なくありません。

新人のエンジニア、あるいは、経験の乏しいエンジニアが、現在は、SES主体の企業だけど、ゆくゆくは・・と、入社を前向きに考えるならば、その願いが叶う未来は、訪れません。

この会社に就職をすると、在籍中は、客先常駐案件のみに従事することになります。

加えて、中小零細SESゆえに、エンジニアは、深い商流での稼働を余儀なくされます。

面接官は、経験の少ないエンジニアに、自社開発という餌で、釣っているのです。

 

2. 中小SESが自社開発できない理由

SESのみを事業内容としている中小SESは、なぜ、自社開発ができないのでしょうか?

 

まず、中小SESは、自社開発をこなす能力がありません。

仮に、能力のあるエンジニアを確保したとしましょう。中小SESは、その能力のあるエンジニアを、「自社開発」に回さず、「客先常駐案件」に入れる事を優先します。

将来への投資となりうる自社開発よりも目先の利益を優先させるという事です。

自社のブランド力や開発力が伸びていかないまま、日雇いSESで日銭を稼ぐという経営スタイルを続けていくのです。

そして、自社開発に関わるエンジニアがいないので、いつまで経っても、自社開発が実現しないのです。

 

3. “自社開発”でエンジニアを釣る(体験談)

以前、正社員で勤めていたSES企業は、前述のような典型的な、零細SESで、事業内容が客先常駐のみという会社でした。

「ゆくゆくは、自社開発をしていきたい」

という方針でした。

 

もちろん、優秀なエンジニアの方も在籍をしていたのですが、エンジニアは全員、客先常駐でした。

肝心の自社開発を零細SESの社長に聞くと、「いつかは・・」「ゆくゆくは・・」「そのうち・・」という言葉ではぐらかします。

 

私以外にも、所属のエンジニアで、自社開発を希望している方は多かったので、皆、事ある毎に、自社開発の件を、社長に尋ねていました。

この零細SES企業、全く、自社開発をしていないという訳ではなく、一応、形だけの自社で開発したシステムは、保有していました。

自社開発したシステムが、具体的にどのようなものかというと、新入社員に作らせた「勤怠管理Webシステム」や客先常駐している社員が片手間で対応した作りかけのシステムで、はっきり言って、売り物にならないようなものばかりでした。

 

4. まとめ

 

要点整理

・中小SESで、事業内容が”SESのみ”の会社の場合、ずっとSESから逃れる事ができない。

・中小SESが、決まって言う「ゆくゆくは、自社開発をやっていきたい」という夢は、叶わない。自社開発という言葉で、求職者を釣っているに過ぎない。

 

SES企業への就職、あるいは、フリーランスがSES企業と協業する場合、下記の点に気をつけるべきです。

・中小規模のSES企業ではなく、ある程度、規模が大きいSES企業を選ぶ事。零細SES企業は論外

・それでも、中小零細SES企業を選ばざるを得ない場合、その会社が、SES+αの事業展開をしている事

 

「いつか、きっと、自社開発を・・」

そう言いながら、今日も、中小SESは、客先常駐要員を募っています。

 

エンジニアの方、お気をつけください。

ABOUT ME
普通のフリーランスエンジニア マノリさん
1981年生。早稲田大学卒。秋葉原(外神田)在住。フルリモートで作業中。昼は人で溢れかえり、夜は誰もいなくなる電気街で、仕事を頑張る。趣味は、小説と散歩