フリーランスの契約は、非常に、流動的です。
苦労して契約にこぎつけても、クライアントに、スキル不足と判断されれば、あっという間に、契約解除となってしまいます。
しかし、なぜか、契約解除を言い渡しておきながら、フリーランスとの関係を続けようとするクライアントは、少なくありません。
このようなクライアントの挙動について、考察したいと思います。
1. 契約解除前後の駆け引き
契約解除の理由は、様々でしょう。
・案件をこなすうえで必要なスキルが足りなかった
・クライアントの予算が削減された
・案件が終了した
少し考えても、このような、契約解除の理由が浮かびます。
フリーランスが成果物を納品、クライアントが検収をして合格。晴れて、案件は終了(完了)という事でしたら、お互い、気持ちよく終了になりますが、ここで問題にさせて頂くのは、案件の途中で、契約が解除となる場合です。
案件途中で、契約が解除となる場合は、往々にして、フリーランスにとって、あまり気分の良い状況では無いと、容易に推察します。
スキル不足でも、予算削減でも、クライアントから、何らかの理由が付けられて、一方的に、契約解除通告がなされます。
フリーランスが、クライアントに、軽い恨みのような念を抱くのも、大袈裟ではありません。
もちろん、そこで、契約が、近々で、解除されるからといって、これまでの恨みをクライアントに吐き出して良いはずがありません。
なぜなら、案件の途中とはいえ、クライアントには、きっちりと精算をして頂く必要があるからです。
契約の中途解除によって、変に関係がギクシャクして、肝心の支払いに、てこずるのは、よろしくありません。
フリーランスは、大人の態度で、粛々と契約終了を受け入れるべきでしょう。
2. 契約解除をするのに、関係を切りたがらないクライアント
フリーランスにとっては、望んでいない契約途中解除を言い渡されたわけですから、まず、契約が解除したら、この案件には、関わらないと考えるのは、ごく自然な思考です。
しかし、ここが本題です。
このような場合、クライアントは、契約を途中で解除しておきながら、フリーランスとの関係性を保ちたいと考えている場合が少なくありません。
理由は、人材確保が困難な事情があるからです。
クライアントは、当然、優秀なフリーランスとの契約を望みます。
人材を募集しながら、優秀な人のみを抱え込もうとすると、相対的に、それよりも劣る人材が、契約解除されていく過程は、必然です。
しかし、「それよりも劣る人材」が無能であるかと問われれば、決してそうとは言えないのです。
それに、抱え込んだ「優秀な人」が、辞めないとは言い切れません。
「それよりも劣る人材」を切った直後、「優秀な人」が辞めてしまっては、業務は停滞します。
このような、人材不足の恐怖が、クライアントの頭にはあるのです。
だから、一方的に、フリーランスを契約解除をしておきながら、そのフリーランスとの関係性を完全には切りたく無いという、おかしな人間関係が生まれるのです。
3. 体験談
以前、参画していたリモート案件で、まさに、前述のような事態に遭遇した事があります。
1年ほど稼働した案件で、十分、本システムに関しては、熟知した状態でした。
しかし、私よりも優秀なエンジニアが確保できたとの事で、私は、契約途中解除を言い渡されました。1ヶ月後に、終了との事でした。
そして、1ヶ月後、私が辞める直前に、その優秀なエンジニアが先に辞めて仕舞い、クライアントは、パニックのような状態になりました。
人材不足で、私は、辞めるのを引き止められましたが、もうすでに、他の案件への参画が決まっており、そのまま、案件を抜けるに至りました。
けれども、抜けた後も、普通に、作業を振ってくるのです。
もちろん、契約解除されているので、未契約状態です。
非常に危険な状態です。
4. 危険性と対策
契約解除をするのに、関係を切りたがらないクライアントには、危険な側面があります。
それは、フリーランスにとって、契約が終了している状態であるにも関わらず、作業をやらされる可能性があるという事です。
つまり、タダ働きという事です。
契約期間は、当然、普段通り、作業を行うのはいうまでもありません。
だけど、契約終了後は、クライアントや本業務から、緩やかに、離れていった方が良いでしょう。
質問に対しては、軽く答えるくらいは良いです。
しかし、それを懇切丁寧に対応する必要はありません。片手間で対応しているくらいで良いです。
契約終了しているのだから、対応する必要なんてない!
と主張される方もいらっしゃるとは思いますが、やはり、報酬が支払われるまでは、緩い関係性は保った方が良いです。
そして、報酬の支払いを確認できれば、もう完全に離れても問題ないでしょう。
5. まとめ
・クライアントが、一方的に、フリーランスとの契約を解除してきたにも関わらず、フリーランスとの関係を保ちたがるクライアントは、一定数いる。
・人材確保が困難ゆえに、クライアントは、フリーランスとの関係を切りたがらない
・契約解除が決定しても契約期間中は、淡々と作業を行う。契約終了後も、報酬獲得までは、クライアントと緩く関係性を保つべき
契約に沿って動く事は、当然ですが、契約よりも人間関係を良好に保つ事も、結果的に、契約を守る事に繋がるのです。