ノマド

ワーケーションという働き方をしたフリーランスの所感

workcation freelance

政府が、観光や働き方の新たな形として休暇を楽しみながらテレワークで働く「ワーケーション」の普及に取り組もうとしている、というニュースがありました。

「ワーケーション」という言葉が目新しく報じられていますが、

フリーランス界隈では、「ワーケーション」という言葉は、今に始まったわけではなく、コロナ以前から、ちらほら耳にする機会がありました。

「ワーケーション」とは、下のような意味です。

ワーケーションとは、「ワーク」と「バケーション」を組み合わせた造語で、観光地やリゾート地で休暇を取りながらテレワークする働き方を指します。

 

私は、以前、ワーケーション的な働き方を実践した事があります。

北海道や北陸等の農村部に滞在。

現地でリモートワークをしながら、空いた時間で、現地を巡ったり、農作業など地元住民の方の手伝いをしたりしていました。

海や山があり、自然豊かで、都市部とは異なった生活の楽しさがありました。

数ヶ月という期間で区切って、現地に滞在し、それからまた別の場所に移り住む・・というノマドワークの一つの形態です。

 

そんなワーケーション経験者である私は、今回の、政府の「ワーケーション」推進について違和感が残りました。

結論を言うと、「ワーケーション」が、日本で一般化するのは、難しいと思います。

 

リモートワークと無縁の人たち言葉

政治家や公務員において、ワーケーションという働き方をしている人は、あまりいないでしょう。

また、このワーケーションについて取り上げている記者等においても、このような働き方をしている人は、少ないと思われます。

ノマドやワーケーションという働き方と無縁の人達の声で溢れていて、当事者不在で、議論が進んでいっている、そんな印象があります。

果たして、このワーケーションという働き方改革は、誰に向かって言っているのでしょうか。

それは、労働者の大半を占める会社員を対象としているはずです。

では、当事者である日本の会社員が、なぜ、ワーケーション的な働き方が難しいかについて、実例を交えて、述べたいと思います。

 

新しい働き方が難しい理由

(これまで)会社に出社して働く → (これから)テレワーク

上のような働き方の変革が話題にあがっていますが、

これまでと大きく異なる、不慣れな働き方(テレワーク)を行っても、心身はこれまで習慣だった働き方(出社)を渇望するものです。

つまり、新しい働き方は、最初のうちは目新しいそれに興味をそそりますが、長い期間を見据えて取り掛かろうとすると、段々と、苦痛が勝ってきます。

何故ならば、これまで続けてきた習慣の方が、簡単だからです。

 

ワーケーションを夢見たサラリーマンの結末

「テレワークを機に、東京から地方に引っ越しました。大変満足しています」

「リモートワークが出来れば、もう都内に住む必要は無いですね」

これらは、非常に、よく聞く言葉です。

 

私の知っているエンジニアでも、

コロナ以前の話ですが、社内がテレワーク体制に切り替わったのをきっかけに、

都内の賃貸物件から、鎌倉や湘南あたりの海沿いのところに、引越した人がいました。

「都内の狭い物件と同じ家賃で、かなり広い部屋に住むことができました」

「歩いてすぐに、海」

「もう満員電車に乗らなくていい」

「最高」

都内に住んでいた時は、毎日、自宅と会社の往復ばかり・・

これからは、仕事と遊びを両立する!と、地方暮らしを始めたようで、

それを聞いて、私も肯定的な感情を持ちました。

 

しかし、地方移住から半年

結局、東京で満員電車に乗る生活に戻りました。

理由は、その方が楽だからだそうです。

 

ワーケーションや地方移住といった言葉は、会社員にとっては、魅力的に思えるかもしれませんが、いざ実践をしてみると、良いのは最初の時だけだった・・

というケースが少なくありません。

テレワークやリモートワークって、向き不向きがあるのです。

もちろん、慣れることによって、その働き方に順応してくる場合もあります。

 

ワーケーションを実現する為には・・(自分のスキル向上)

どうしても、ワーケーション的な働き方をしたいならば、

或る程度、リモートワークのスキルを身につけてから、行うべきでしょう。

それには、セルフマネジメント力(自己管理能力)が必要になってきます。

「セルフマネジメント」というと、ビジネス的で堅苦しい感じがありますが、要は、自ら、仕事とプライベートをうまくコントロールしながら生活していくスキルが大事だという事です。

それができないと、リゾート地でワーケーションという働き方をしても、以下のような状態に陥る恐れがあります。

・部屋にこもってパソコンの画面を見続ける仕事中毒

・仕事をほったらかして怠惰な時間を過ごす

一体全体、自分は何をやっているのか?よくわからない状態です。

 

ワーケーションのハードルは高い(他者の理解)

前述のように幾ら個人のスキルを高めても、組織を重んじる日本の企業風土では、なかなか、このような働き方の実現は、難しいと思います。

組織や集団で動いている以上、或る程度、他者と時間を合わせる必要もあります。

そうなると、場所が違うだけで、結局、普段の勤務時間の間、パソコンの画面に張り付く状態に変わりがありません。

勤務時間をフレキシブルにするのは、自分のスキル次第の部分はありますが、当然、他者の理解も必要になります。

 

自分の力だけでなく、周りの人の理解も欠かせません。

そんな複合的な問題を孕んでいるワーケーションを実現する為には、低くないハードルが立ちはだかっているのです。

ABOUT ME
普通のフリーランスエンジニア マノリさん
1981年生。早稲田大学卒。秋葉原(外神田)在住。フルリモートで作業中。昼は人で溢れかえり、夜は誰もいなくなる電気街で、仕事を頑張る。趣味は、小説と散歩