新型コロナの影響で、巣ごもり生活が浸透し、各飲食店のテイクアウトやデリバリーの需要が高まっています。
街では、颯爽と駆け抜けるウーバーイーツの配達員の姿を、頻繁に目にするようになりました。
筆者は、ウーバーイーツの配達員の事故を、目撃したことがあります。
事故の目撃は、一度ならず、ここ2、3ヶ月で、数回に及びます。
(それだけ、ウーバーイーツの稼働が高まっているとも言えます)
確かに、歩行者が密集している狭い歩道を、自転車で突っ込んでいくわけですから、事故は必然でしょう。
筆者が見かけた配達員の事故は、
・ウーバーイーツ配達員と歩行者の衝突
・ウーバーイーツ配達員と自動車の接触
です。
今では、配達中の事故に関しては、医療費が出るようになったようですが、少し前まで、事故については、あくまで自己責任という扱われ方をされていたようです。
配達員とウーバーイーツの間に、雇用形態はありません。
配達員は、業務委託という形で、個人事業主のような扱いになります。
基本的には、個人事業主であるウーバーイーツ配達員が、稼働中に、何らかのトラブルや問題に巻き込まれても、自己責任となります。そして、ウーバーイーツは、その責任を一切負わない、というスタンスを取ります。
そのトラブルを解決する為に、必要であれば、個人事業主自身で、警察や弁護士に相談しなければなりません。
クラウドソーシングとの類似性
筆者は、フリーランスのエンジニアです。
以前、クラウドワークスやランサーズなどの、いわゆるクラウドソーシングを利用していた時期がありました。
クラウドソーシングを通じて、数々のトラブルを経験しました。一般人が、詐欺や犯罪まがいの出来事に遭遇するのも、稀ではありません。
クラウドソーシングを利用していて思うのは、クラウドワークス等も、ウーバーイーツに近しいサービス、という事です。
利用者は、フリーランスです。
雇用形態は、業務委託で、個人事業主となります。
発注者と受注者間のトラブルに関しては、クラウドワークス等は、一切、責任を負いません。
フリーランス(受注者)は、ウーバーイーツ配達員と同様に、自力で、解決を図る必要があるのです。
しかし、トラブル発生時、フリーランスが自力で解決をしようと奔走しても、必ずしも良い結果に至るとは限らないのです。
それを、引き続き、説明します。
個人事業主の負担の重さ
まず、ウーバーイーツ配達員やクラウドワークス等の利用者が全員、法律に長けている訳で無いのは、言うまでもありません。
収入の足しになるように、副業的な形で、利用している方も多いでしょう。
トラブル発生時の負担は、かなり重くのしかかります。
この手の、トラブルの結末は、最終的に、法律による判断に行き着かざるを得ません。
順を追って説明しましょう。
利用者同士で、何らかの、トラブルが発生。
ここで、当人同士の話し合いで解決すれば、一応、問題はありませんが、そう上手くはいかない場合、運営会社(ウーバーイーツやクラウドソーシング)に、相談する事になります。
しかし、前述の通り、運営会社は、基本的に、助けてくれません。当人間で、話し合いをして、勝手に、解決をしてくれ、と突き放してきます。たとえ、明白な加害/被害関係があったとしても、仲介に入ってくれません。
この次のフェーズとして、行政機関に相談することになります。行政では、この手の、相談窓口の門戸が開かれています。
しかし、行政に相談しても、ほぼ解決しないと言っても過言ではないでしょう。
或る機関に相談に行ったら、ほぼほぼ、同じような別の機関に相談に行く事を進められます。そして、その機関に言ったら、また別の・・という具合です。
一般的には、たらい回しと呼ばれる対応です。
最終的なフェーズとして、法テラス等、弁護士に相談する必要が出てきます。
しかし、法律初心者にとっては、結構なハードルがあります。
加えて、弁護士に、正式に依頼するとなると、費用も安くはありません。
ここまでやって、費用対効果を考えて、結局、泣き寝入りする結末を選ぶ。そんな方々は、少なくありません。
そして、加害者や、トラブルを引き起こした場を提供したサービス業者は、何のお咎めもなしです。
業務委託という働き方を提供する業者の裏側には、このような仕組みが隠されているのです。
誰も責任を取らないサービスの結末は
こういった、誰も責任を取らない(取りたがらない)サービスは、社会にどのような影響を及ぼし、今後、どのような結末に至るのでしょうか。
一言で言うと、確実に、社会の治安が悪くなります。
換言すると、言い方は悪いですが、治安悪化の一翼を担っている、サービスとも言えてしまいます。
誰も責任を取らない状況を、考えてみてください。
詐欺や犯罪的な事が発生しても、誰も責任を取らないのです。
そうすると、法律というものが機能しなくなってきます。
換言すると、法律が関係なくなっていき、次第に、法律の抑止力が溶けていきます。
ウーバーイーツの配達員が、密集する歩行者がいる歩道で暴走
ウーバーイーツの配達員が、歩行者に突っ込んで、逃走
クラウドワークスの求人欄には、詐欺や犯罪を助長するような案件が掲示される
悪い事をやっても別にいいんです、だって、誰も責任を取らないのだから。
だんだんと、治安が悪くなっていき、これらのサービスは、いわゆる無敵な人を醸成するプラットホームと化します。
ただ、このような問題が頻発している最近の事情を勘案し、今後、法の整備が追いかけていく事になるでしょう。
ウーバーイーツが、配達中の事故に対して、医療費を出すようになったのも、この傾向です。
治安悪化が、本格的に進行していく前に、フリーランスが極端な不利益を受けているこの状況に対して、適切な法整備がなされる事を切に願っています。